淡雪の残る朝
 朧月夜に逢いましょう
 惑わすは蜃気楼
 春雨に頬濡らす
 彼方と見る雪の果て

 薄氷に指をあて、
 雪崩とともに堕ちる夢
 山笑うかの様な私の心
 雪代を見つめて
 流氷原に降り立って

 木の芽時に心踊る
 永き日の幸せ
 長閑な今を大切に
 八十八夜の忘れ霜
 彼岸追想

 鶯の声が聴きたくて
 親雀の泪
 雉をお供に
 囚われの蝶
 仔猫の恋


春の季語